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2015年5月14日 (木)

「1分で大切なことを伝える技術」2009年 - 齋藤 孝 -

150509saito_takashi1分で大切なことを伝える技術 – 2009/1/16 齋藤 孝

○「一分間トレーニング」でコミュニケーション力を鍛えよ
 著者は、あるテーマで話を1分間するというセミナーで短い準備時間にボーッと考えるのではなく、ペンを取ってキーワードを書き最重要なものを選び絶対に話すフレーズをつくる..という。

 私は考えを整理するためにノートを「思考の作業台」することが良くある。人間は文字を持っていることで創造的な活動ができる。

○ストップウォッチを使うだけで、仕事は早くなる(28p~)
 著者は午前にこれをやる。午後にこれをやるという午前午後単位ないし時間単位は長すぎる。分単位・秒単位ストップウォッチを使えば仕事は確実に早くなる。自然と密度が濃くなる..という。

 私は大学教授の著者はトーク番組で「学生にストップウォッチを勧めている」ことを思い出す。学生に数十秒話しては、数秒空けては別の学生が話すということを繰り返しながらトレーニングしてゆく。話のやり取りをサッカーのパスに例えて「メッシがドリブルでボールを持ち続ければ観客の喝采を浴びるが、普通の人がしゃべり続けても嫌がられるだけ」という著者の発言を忘れられない。

○自分の話を心の中のチェックシートでチェックする(37p~)
 自分の話の質を向上させるために心の中にチェックシートを持つ。「具体例」を示す。相手の「経験」に添う。「簡潔」に「一分以内」で終わらせる。「キーコンセプト」と「デメリット」を入れる。

 私は時間を与えられて話すとき、一般的なものに例える。実物や模型を示す。黒板にキーワードを書く..つまり、聞いている人の視線を動かす様にすることを心がている。「絵を頭に思い描く能力が大事(58p~)」で、著者は「言葉を言葉として使うだけの話では人は退屈する」(61p)と述べているが、一方で「問題なのはビジュアルで見せることが最終目的になり、言葉で伝えるプロセスが省かれてしまうこと」(62p)と戒められる。

○もうひとつの力 - 経験喚起力
 著者は自分の話によって、それに類する経験を相手に思い起こさせることを「経験喚起力」と呼んでいる。精神医学の話での性的衝動とこれを父親の様にコントロールするスーパーエゴで説明し、聞き手の経験を引き出す。

○相手に伝わる「テキスト」は何かを考える(66p~)
 私はTVはニュース以外はほとんど見ない。ドラマ、スポーツ、映画もあまり見ない。マンガも読まない。経験喚起力を発揮するには「共有性の高い」もの(テキスト)に対して「日ごろから自分のアンテナを伸ばしておく必要がある」(68p)と言うことになる。後の「共通の話題を探るならテレビが無難」(170p~)の節では、ビジネスパーソンなら業界ネタ、男性ならスポーツ新聞ネタ、共通性の高いテレビネタ..著者も時代の空気を感じるためテレビを見ている。 

○コンセプトを一文で表現せよ(84p~)
 著者の勧める一分間プレゼンのポイントは「何がコンセプトか」を明確にすること。それを極めの一文として最初に披瀝することが求められているという。問われるのは「キーワード」「言いたい本質」「心を動かすフレーズ(フック)」である。

 私は次期長期計画の素案協議で、盛んに「尖ってない」との指摘を受けた。どうも、県庁ではフックではなく「尖ってる」という言い方があるようだ。私は「違和感」「ざらつき感」と言っている。しかし、程度がある。ほどほどの尖り方、適度なざらつき感を探すのが難しい。後の節で「カギカッコを意識してしてみる」(88p)をサポートするものとして「接続詞を意識してみる」ことも重要と思う。

○最大のメリットとデメリットがわかるように提案せよ(89p~)
 著者は最大のメリットが売りの半分以上を占めるなら、その一点だけを強調する「傾斜配分」があって初めて実像が見えてくるとしている。さらに最大のデメリットを説明する。

AKB48のプロデューサ秋元康が「印象に残る幕の内弁当はない」と口にする。羅列は印象を薄れさせる。「何を一番言いたいのか?」と問われて戸惑っていては迫力ある提案はできない。そして次節の「一番怖いのは、デメリットが示されていない企画が通ること」というタイトルは提案を受けることが多い側としては腑に落ちる。デメリットを示す提案もあれば、隠す提案もある

○対話形式で話せば、話が立体化する(101p~)
 著者はメモを取る際にはたいてい「問い」を書き込む。実は私も講演や会議で同じ様に問いを書く。ノートの右側1/4に縦線を引き備考の様なスペースと作り、自分の問い、感想、意見を書き、時に質疑があれば、その中から最も重要な事項を選んで発言する。

○仕事のミスは、仕事で返せ
 著者は学生たちは謝り方を知らない。「忙しくて」「言われてなかった」といった弁解が先に立つ。まずは謝り、1分でミスの理由を説明することが事態悪化の防止策だと言っている。

 私が学生に限らないと思う。家庭でも良くある。同じフレーズでも順番を変える。込み合うファミレスで客がホール係を呼んだとき「少しお待ちください。ただ今参ります。」と「ただ今参ります。少しお待ちください。」では同じ結論でも印象が異なる。

○謝罪を簡潔にする「ミス再発防止カード」(123p~)
 ある会社では毎日の朝礼で基本的な注意事項を全社員で音読するようにしたところ、驚くほどミスが減った。声に出すことは認知を向上させる。声に出し耳で聞く。もう一つ方法がある。基本的な事項を紙に書いて良く見えるところに張る。手で書いて目で見る。

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