「知らないと恥をかく世界の大問題」 2009年 - 池上 彰 -
「知らないと恥をかく世界の大問題」 (角川SSC新書) 池上 彰
〇プーチン
「国民は『発展はプーチンのおかげ』と思っているが本当は資源高のおかげ(68p)」という。そして「大統領は任期2年までだがプーチンは人気がある..権力を維持したい..言いなりになるメドベージェフを指名し、メドベージェフが大統領を1~2期務めた後、再びプーチンが立候補するでしょう。」と3年後を自信持って見事に言い当てている。驚く洞察力である。
〇イスラム教
ジハードとはイスラム教を信じ帰依するため「努力する」という意味で、異教徒から土地を奪われると布教できなくなるので戦うこともジハード(努力する)となる。日本では「聖戦」と訳している。(110p)調べてみると聖戦は「外のへジハード」と呼ばれ区別されることがある。「戦って死ねば天国に(111p)」と聞くと新渡戸稲造が「武士道」で「名誉と名声が得られるのであれば命は安い。」とする一方で、「死に値しないもののために死ぬことは犬死」と戒めていることを思い出す。
〇民主党
政権交代を「無血革命」と大きな期待感を抱いていた。八ツ場ダム事業中止、子ども手当、戸別所得補償を列挙したが、プーチンとは違って、現在の評価は全く想像できなかったはずである。
〇知識として..
・政治(民主主義)、経済(資本主義)、宗教(キリスト教)が同じだから成立するEUはイスラム教のトルコを入れたくない。(28p)
・イスラム圏の国々は覇権を握ろうなどと言う発想はない。イスラムの世界を守ればいい。(28p)
・米国に中央銀行はなかったが1900年代の取り付け騒ぎがきっかけで鉄道を使って一日で駆けつけることができる連邦準備銀行を12行作った。それを統括する仕組みがFRBとなる。(32p)
・昔、「トヨタと日産だけあればいい」と通産省がスズキや富士重工を経営統合させようとしていた。(50p)
・石油の値段は1970年ごろ1バレル1米ドル、オイルショックで上がり30ドル、需給がひっ迫して70ドル、投機マネーが流れ込んで147ドルまで急騰した。100倍になって産油国は儲かって仕方なかった。(61p)
・コーランでは「アッラーは商売はお許しになったが、利息取りは禁じた。」とある。金利でなく手数料をとる。(63p)
・ソビエト崩壊後、復活したロシアの背景は世界一の天然ガス生産は、世界二の石油産出で「北のサウジアラビア」と呼ばれる。(65p)
・身分で職業を規定するカースト制は一人でできる仕事でも何人も人を雇う。結果的にはそれがワークシェリングになる。(77p)
・ITは新しい産業でカーストの縛りがない。能力があれば仕事に就ける。それがIT産業が発展した理由であり、インディアンドリームです。(78p)
・イスラム世界は停滞していたが、原油が見つかり、経済的な力が強くなるとイスラム教という宗教の影響力も大きくなった。(108p)
・中東は自由がなく石油による富は一部の階層に独占され、絶望している若者が大勢いる。彼らに守りたいものはなく、ジハードで一刻も早く天国へ行くことが夢となってしまった。(115p)
オバマは大統領宣誓式でミドルネームも含めた「バラク・フセイン・オバマ」とアピールしイスラム教徒との和解を目指した。(170p)
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