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2012年1月16日 (月)

小池昌代の現代詩入門 2011年

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「小池昌代の現代詩入門」 2011年

 偶然、書店で見かけた。表紙をめくると、〆たカンパチ、雨に濡れた英国の歩道、冷たい光を放つコインロッカーの写真とともに詩人について触れる短い文だけが添えられていた。思わず買ってしまう。

 震災直後にあれほどTVに流れた「こだまでせうか」を擁護している。「いきなり広場に」引っ張り出されて私的な思いをシンクロする人に伝えるはずの詩が「日本社会の表舞台」で、オロオロしているようです。(7p)

 以前から詩にはリズムが必要だとは思っていたが、著者は「言葉にはしつこく意味がついてまわってきますから、放っておいてください」(24p)と、「音」を「楽」しむことを勧める。詩が音とリズムと繰り返しに特化すると歌に行き着くと思う。

 擬声語や擬態語をフランス語でオノマトペということを初めて知る。「さとうきび畑」の「ざわわざわわ」を思い出す..自由にオノマトペを創造して初めて言葉を超えて伝わるものがある。ふと若い人たちが使う小文字も使えばもっと表現が拡大する可能性を感じる。

 30年前の天理高校と舞鶴高校の決勝がモチーフとなったともいう松任谷由美の「ノーサイド」は「時と場所の切り替えがとてもシンプルで素早い」と評価している。過不足なく、ひとつひとつの歌詞がその数倍の意味を待つ拡がりには感心する。

 詩はアーカイブファイルに似ている。文字というちっぽけなファイルを展開すると何倍もの容量に増大し、様々な映像、音楽、温度、匂いを感じさせてくれる。

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