「旭山動物園」革命 -小菅正夫- 2006年
北海道に「旭山動物園」というやたら人気の動物園があるとは聞いていたが、そんな興味を持っていたわけでもない。興味を持つきっかけとなったのは著者が動物園を退職した後を継いだ坂東元園長がNHKラジオに出演したことだった。「14枚のスケッチ」の話は結構有名だった。
この本には動物に対する考え方と組織とそれを構成する人の重要が描かれている。登場する私(園長)、動物園スタッフ、野生動物、入園者を一般社会に置き換えることは容易である。
ポイントは幾つかある。ひとつは三十年続く真剣勝負の「勉強会」の伝統である。このモチベーションがなければ何も始まらない。だから彼らは「世界一の動物園」の夢を持とうとした。そして陽の目を見るかどうか分からない14枚のスケッチが描かれた。「不遇の時期に意味があるとしたら、お金はなかったけど動物園についてじっくりと考える与えられていたということだ」・・「思いつきで作ったとしても今の様にはなっていない」(47p)と言う。
最近「全員力」という言葉が気になっている。それぞれの居場所があるはずである。「がんがん新しいことをやって行くタイプ」「なかなか新しいことを考えつかないタイプ」「少しずつ前進するタイプ」(105p)がいるが皆が伸びる組織でなければならない。部下が増えるほど、現場から離れるほど気になる著書だった。主将だった柔道部での経験は興味深い。
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コメント
実は北海道で研究会があった時
「旭山動物園に行けばいいじゃ~ん」
と自費参加しました。
研究会では、小菅さんのお話もありました。
市営なんですよね。
私、部下もあんまり居ないのに、
最近人材育成の本ばっかり薦められます。
投稿: asu | 2010年6月 3日 (木) 22:16
直接、話を聞いたんですね。市営なんで市長の決断がなければスケッチは陽の目を見なかったということになります。
持論ですが部下を動かすには動機付け(モチベーション)が必要だと思っています。動機には大きく分けて二つあると思います。やれば何かが変わり評価されるという「達成感」と、何とかしなければ大変なことになるという「危機感」だと思います。
おそらく私を含めこれを失いつつある人が増えているのだろうと思います。
投稿: 末吉 | 2010年6月 3日 (木) 23:09