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2008年8月 1日 (金)

「先進企業の『原価力』」 -若松 義人- 2008年

先進企業の「原価力」 先進企業の「原価力」

著者:若松 義人
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 20年間、トヨタ自動車の社員でもあった著者はもう70歳を越えているだろう。トヨタ式(流)のカイゼン(改善)力を紹介する著書を多く執筆している。著書には改善力、人間力、仕事力..そして原価力と「力」をキーワードにしたタイトルのネーミングが多い。全くの余談だが「国家の品格」以来、「品格」が書店の店頭を賑わせているが、個人的には嫌気を感じている。個人的にあるワークショップに参加するためVE(Value Engineering)を理解しようと読むことにした。

book 第1章「原価はさらに下げられる」
 どうもVEは問題を解決する案を捻出する手法らしい。ブレーンストーミング等の「発散」とKJ法等の「収束」が一体となり、さらに前段階として「機能定義」と「機能評価」という段階を置いている。やたら「機能」という言葉が見受けられる。問題解決を「モノ」に目を奪われず「何のために使っているのですか?(30p)」という発想から進め様としていることが特徴である。
 同様の手法はいくつかあろう。以前読んだ高橋誠の「会議の進め方」(日経文庫1987年)では「機能」という代わりに「問題」という表現で問題設定>問題把握>目標設定>問題解決>総合評価という5つのステップを提示している。VEが「機能」という言葉を使うのはやはりコストダウンの側面が強く影響している。まさにその基本式はValue=Function/Costである。

book 第2章「変化をためらう理由はない」
 「知識を持つことと実践することは往々にしてイコールではない(52p)」という部分を読んで思い出すのは、梅田望夫の「ウェブ進化論」でGoogle社ではアイディア時点から情報が5,000人の社員に公開され「アイディアの起案..ほとんど評価されない。アイディア..は..難しい問題を含む..問題を解決して動く形になって初めて評価される」という一節を思い出した。確かにこの著書の前章にも「八割(の人たち)の反対や抵抗に遭うことを覚悟しなければならない。(34p)」とある。

book 第3章「VEは身近にある」
 VEの5つの原則のうち第1原則は「使用者優先」である。自分にとっては「県民優先」や「漁業者優先」となる。実はこの原則は自分も意識している。特に判断を迫られた時にはこの原則を呟いている。

book 第4章「VEを確実に進めるために」
 コストダウンが社内的に行われている内は良いが、納入業者に対して行われると厳しい。トヨタ自動車は「グループ企業や協力会社に対してトヨタ式の普及・定着をはかろうと努力した。(107p)」らしい。事実なら流通業界においても同様の流れがあっても良いのではないか。現実をみてもそうはなっていない。

book 第5章「コストダウンのヒントは現場にある」
 シャープの個別採算性は収支管理で把握しなければならない当然の話であろう。それが個人営業や零細企業ではほとんどなされていない。原価率が上がっても利益が減少しても「原因はここらかな..」程度の論議しかできない。ふたつの技術が必要である。コストを認識する「見積技術」とコストを圧縮する「改善技術」である。ここらは大きく仕事と絡んでくる。

book 第6章「モノづくり、人づくりに終わりはない」
 自らの課題を考えれば、とにかく至急、情報を集めなければならない。あまり時間もないから「ひらめきは何か仕事を離れ、何か別のことをやっているときに訪れることが多い(167p)」などと茂木健一郎のAhaの様な悠長なこともいえない状況である。
 重要なポイントが幾つかある。「企業はスカウトしたり、あるいはアウトソーシングや派遣会社を利用したりして人を育てることを避けている。(172p)」これは城繁幸の「若者はなぜ3年で辞めるのか」でも指摘されている。人材(財)に穴が空いてしまう。
 著者はVEと関わった理由を「『人づくり』を可能にしてくれる。(174p)」としている。VEが人をつくるのか、人がVEをつくるのか。実はこれは後述の「コスト競争力というのは一部の人、一部の部署が頑張ってもどうにもならない(177p)」と関連している。ひとりで50%アップの力を出すより10人で10%アップの力を出すほうが間違いなく組織の実力は上がる。だから人づくりなのだろう。

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