「人間の関係」 -2007年- 五木 寛之
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人間の関係 著者:五木 寛之 |
昨年11月発行で未だに店頭で平積みされる本がもう古本屋に並んでいた。著書に申し訳ないと思いながら600円で購入した。10年以上前に執筆し始めた「考えるヒント」の補完や多少軽めのエッセイ的な部分も含んでいる。(BOOK・OFFにて購入)
○人脈・・遊び呆ける息子に業を煮やして父親が叱責すると「仲間も必死で遊んでるんだぜ。これの人生の設計図は、おれがかくから心配するなよ(30p)」と反論する。昭和的価値観との決別か。確かに学閥や門閥などより遥かに発展的な交友関係が「遊び仲間」から生まれてくるのは事実である。双方とも理屈はないが後者の方がからりと乾いている。
○幸せ・・「幸せな親子、和やかな家族、成功した子育ての記事や写真がマスコミに派手に取り上げられるのは、実際にはどれほどのその反対の不幸なケースが多いかということ(50p)」という著者の印象を私も良く感じることがある。家庭でも、職場でも、社会でも、もがき苦しむ人は多い。例え幸せそうに見えても..
○輪廻転生・・ブータンでは「蚊がブーンと近づいてきてもピシャリと叩いて殺したりはしない..あの蚊は昨年亡くなった親戚のおじさんかも知れないから(55p)」という考えは理解できない。しかし、私が動物でなく人間に、そして日本人に、生まれたことは感謝したい。
○友・・「『国を選ぶか、友を選ぶか』というギリギリの選択に迫られたときは『迷わす友を選べ』(148p)」と作家ジョセフ・コンラッドが言った。「身捨つるほどの祖国はありや(148p)」と寺山修司が言った。国家と言っても所詮は人間がつくったものであり、移ろいやすい。日本の政治を代表する首相がどれだけ誠実で確実で正確な判断をしてきたか。
○最期・・「私たちの前途で、絶対に確実なものといえば、人は死ぬという事実だけです。(170p)」という考えは生きるヒントから継続するテーマとなる。それでも生きていかなければならない。余力があれば励ましを受けながら生きて行くが、人間も最期を悟ればほっといてやるのが良い。
○可能性・・「人間は自分の努力や誠意では選べないものがある。いつの世に生まれるか、どんな国に、どんな立場で生まれるか、全く決定できない。(226p)」そして「努力するぞと自分に誓っても、それがつづく人と、挫折する人がいる。意志が弱いせいだと批判するのはまちがっています。生まれつき運動神経にめぐまれた人や絶対音感をもって生まれた人がおり、一方でそうでない人がいる。(227p)」とは強者が正しく弱者には正すべきところがあるという一面的な考えへの反論とみる。
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