「ウェブ進化論」-梅田望夫- 2006年 その2
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) 著者:梅田 望夫 |
その1から続く
○マイクロソフトとグーグル・・「最初にビル・ゲイツに戦いを挑んだのはネットスケープを創業したマーク・アンドリューセン(220p)」だった。光り輝いき始めたベンチャー企業もメジャー企業が本気を出すといとも簡単に叩き潰されたという印象を当時持っていた。初期型のインターネット・エクスプローラはお粗末だった。当初からNetscape Navigator を試用期間無料で提供した会社は10年以上前に買収されてしまった。著者は敗因を「こちら側対こちら側の戦い、つまりマイクロソフトの土俵での戦いだったからである(221p)」としている。一方、グーグルに対しては現在の買収騒ぎの前に2004年1月に買収の噂話があった。真偽は別として、当時、まだ未公開企業だった気になる存在であったことは確かだったようである。
○日本人一万人「移住計画」・・ここらに著書の真髄がある。著者は9.11に対する日本の反応の鈍さに驚愕している。「あれだけの衝撃が世界をおそったときに、当事者意識を持っていれば必ず働くだろうはずの反射神経が全く動かない古い日本(230p)」と表現した。「シリコンバレーに日本人が少ない理由(231p)」は「大学生・大学院生のトップクラス大半を新卒採用し、自由度の高い研究の場や世界最先端の技術開発プロジェクトに関わる場を与えて、さらには終身雇用という安定した好条件を提示(232p)」してきたが、それが崩れ、「言いようのない閉塞感(232p)」が広がっている。
さらに興味ある表現がある。日本と言う国の大企業経営者、官僚、マスメディア幹部は「いったん属した組織を一度も辞めたことのない人たちばかり」で占められているということである。人生の急展開、組織に依存しない個人を単位としたネットワーク、いつ失職するかわからない緊張感、常に個としてスキルを磨くことは「個」を強くする。気づけば「変化すること」「失うこと」を恐れていないか。
○若いうちはあまりモノが見えていない方がいい・・「44歳の私は10年前『34歳だった私』に比べて、圧倒的にモノが見えている..でもモノが見えている分だけ、新しいこと、未経験なことについて、ネガティブに判断するようになってはいないだろうか。これを『老い』と言うのではないのか。(238p)」
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