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2007年11月28日 (水)

「ゴールドラッシュ」 -柳美里- 1998年

ゴールドラッシュ  /柳美里/著 [本] ゴールドラッシュ /柳美里/著 [本]
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14歳の中学生が小学生を次々と殺傷し頭部を切断して声明文ととに校門に置いたとされる神戸連続児童殺傷事件から10年が経過した。先日、全国犯罪被害者の会で被害者の父が、「少年審判は非公開で、被害者の知る権利が奪われている」と訴えている。10年経過したと言っても何も終わっていない。そして、今も衝撃は広がっている

この事件に強い関心をもった著者が事件を題材にして翌年に出版しているが完全なフィクションである。私はこれらの情報を一切、知らずにこの本を読み始めてしまった。(ブックオフにて105円で購入)

印象としては「映像的な」印象が強い。読んでいて脳裏に映画のシーンの様に情景が浮かんだ。幻想とも夢とも思える記述も多いが、表現がリアルで細かい。覚せい剤、火葬..良く取材しているのだろう。男性の肉体にかかわる表現などは著者が女性であることを感じさせない。

しかし、逆に言えばリアル過ぎて人によっては不快感を覚えるかも知れない。冒頭のレイプの場面、そして殺害の場面ならまだしも、後半の表現は臭気さへ漂いそうである。好みが分かれるか。映像的だが原作に忠実に映像化してしまうとオカルト映画になってしまう。

主人公「かずき」は中学生でありながら、周りの大人を冷徹に評価してゆく。そして行動して行く。事件を題材にしている。その中でオヤブンと呼ばれる金本が特別な存在となって来る。私にとっても気になる存在として広がった。最後はやはり延々と映像的な幻想の中を漂い続ける。阪神淡路大震災を連想するシーンもある。著書の解説者も同様の印象を受けている。

祖父を尊敬し父親を軽蔑するが最後に古い家族写真を取り出して父親の哀しげな目に初めて気づいた主人公が「写真を撮ろう」というシーンは何故か強く印象に残る。

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