「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 -武田邦彦-
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024)) 著者:武田 邦彦 |
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コメント
○「資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル」・・ペットボトルメーカーと行政の欺瞞を暴く印象である。ゴミは「リサイクルによって4倍に増えた(21p)」というが、ここだけ読むと勘違いする。引用にあるように「(小さなペットボトルが販売されると)小さくて気軽に飲むようになり..大量投棄に拍車(15p)」というのが私の意見と一致する。私の記憶でもも500mlボトルの出現には反対があった。
○「ダイオキシンはいかにして猛毒に仕立て上げられたか」・・昔読んだ「ダイオキシン―神話の終焉」の論調と一致する。反響はあったが、著者である渡辺正 東大教授への反論も多かったが..。ダイオキシン被害の象徴の様に思われるベトちゃんドクちゃんも原因は不明らしい。ところで猛毒だと信じている.理由は「新聞にそう書いてあったから、テレビでそう報道しているから(88p)」ということが多い。妻を含む多くの主婦には良く見受けられる現象である。「本」だってそうである。読んで理解することに熱心なあまり「鵜呑み」になりやすい。この著書の読み方も同じではある。
○「地球温暖化で頻発する故意の誤報」・・意外だったのは平均気温が上昇しても南極周辺の温度が少し上がり、そこに霜(氷)が増え海水面は下がることである。但し、海水自体が膨張するので全体としては少し(年間0.3~0.4cm)上がる試算ではあるが。確かに視点を広くした方が良い。鉄道と飛行機のインフラを無視した二酸化炭素発生量比較や第一氷河期と現在の気温変動などはその好例か。しかし、京都議定書は滅多切りである。
○「チリ紙交換屋は街からなぜいなくなったのか」・・リサイクルが叫ばれているが「日本人が使っている紙の原料のほとんどは先進国の森林から(171p)」らしい。途上国の森林のかなりの部分は薪炭用である。
○「環境問題を弄ぶ人たち」・・内容は深刻だが面白かった。「1985年を境に..油田の発見量より消費量の方が上回るようになった..2030年ぐらいには..石油が枯渇(197p)」する。読んでいると現在の産業は石油の上に咲いた徒花のような気がする。農林水産業も同様である。石油が枯渇すれば工業ばかりでなく一次産業も影響を受ける。農業の効率は下がり「自給率は40%から25%(203p)」へ低下する。もともと先進国と比較し自給率が低い日本が確かに不安になる。著者はさらにフランスやイギリスの農業従事者が30歳後半から50歳までが主力であることや日本人が毒物である水銀を含む魚を食べてきたことを紹介して発がん性の大騒ぎを批判し「身土不二」の考えを勧めている。そして最後に日本人の道徳観にふれている。日本の殺人発生率「0.62人/10万人」はダントツに低い。
投稿: 末吉 | 2007年8月11日 (土) 23:52