この国のけじめ
この国のけじめ 著者:藤原 正彦 |
前半は「国家の品格」をそのまま引きずるエッセイが並べられている。エッセイの寄せ集めなので、同じ内容が二度三度出てくるのはありなのか。一方、後半は随分とくだけてくる。「国家の品格」から半年後の出版だがややプライベートな部分が見える。ただ、ひとつ言える事は著者の読書量が圧倒的であることである。もちろん数学者として読むべき専門書以外の本の読書量である。連が日ソ中立条約を一方的に破棄して攻め入ったことを例えている。「もっとも卑劣な火事場泥棒」と称した。この日本人の感覚は「武士道に根ざしている(60p)」らしい。後はほとんど国家の品格と重複する内容である。
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コメント
○国家再生への道標・・「乳児死亡率を比べれば、アメリカは貧困な独立国キューバより高い。(11P)」そうだろう。「一般労働者は平均年収は300万円であるのに比べ、企業経営者のそれは13億円と431倍になっている。1983年には42倍に過ぎなかった。」確かに超格差社会である。でも、数値は検証する必要がありそうだ。「日本は何もかもアメリカに依存した(50p)」ことは事実である。「外人」と言えば、日本人の大半は欧米の白人を連想する。街頭でアジア諸国の人たちに会っても「外人」と呼ばないことが多い。
○祖国愛・・「火事場泥棒ほど恥ずかしいものはない(58p)」という祖父の言葉を引用してソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して攻め入ったことを例えている。「もっとも卑劣な火事場泥棒」と称した。この日本人の感覚は「武士道に根ざしている(60p)」らしい。後はほとんど国家の品格と重複する内容である。
○甦れ、読み書き算盤・・著者は学生対象に「読書ゼミ」を開いている。最初に新渡戸稲造の「武士道」を読ませるらしい。面白そうであるが、やはり!という印象である。「名誉を守ることは生命より大切(117p)」という内容を批判する学生が著者の反論に「撃沈」するようである。そりゃそうだろ。赤子の手を捻る様なものだ。
○藤原家三代・・父、新田次郎が文系に「足を踏み入れたのは36歳だった(157p)」らしい。一方、著者の場合は33歳だった。東大コンプレックスであり理学博士コンプレックスだった父が息子が東大に入学し、博士号を取るたびに「お前みたいなバカでも・・」と高笑いしたそうだ。身につまされる。
○日々の風景・・「死が急激に接近し怖れを抱くようになった..夜中にその恐怖に圧倒され(246p)」た経験があるらしい。同様の経験をしたことがある。その解決は出来ているつもりだが・・
投稿: 末吉 | 2007年7月21日 (土) 23:20