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2007年4月15日 (日)

「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」 -林總-

餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? Book 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?

著者:林 總
販売元:ダイヤモンド社
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なんとなく書店の新刊コーナーにあって手に取ると「キャッシュフロー」という文字があった。御手洗キヤノン会長が導入した経営手法か..と思いながら結局買ってしまった。私のような素人でも「なんとなく」読める本ではあった。

急逝した父の会社の経営を素人の娘が引き受けるが借金漬けが判明し、公認会計士「安曇」に月一回レストランでもてなすことを条件にレクチャーを受けて会社を立て直すストーリーになっている。12ヶ月が12章となっている。

○第1章「会社はだまし絵、隠し絵だ -会計の本質と損益計算書のしくみ-」・・「真実を表現した決算書はこの世に存在しない(27p)。」「会計は絶対的な真理を追求するものではない..会計における正しさとは恣意性が入らないと言う意味(28p)」など..

コメントへ続く

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コメント

○第2章「現金製造の効率を上げよ -バランスシートを理解する-」・・「会社の活動は、現金を使って現金を作ること..現金製造機が大きいほど、その性能が悪いほど、多くの維持費がかかる。(40p)」は分かりやすい例えである。「リストラって、現金を生まない資産を処分すること..保有しているだけで現金を消費する(42p)」「元の姿である現金に戻すことがリストラの第一歩(43p)」なのである。人事は二次的である。「売掛金+在庫<買掛金(49p)」の理由は買掛金は業者から支払いを一定期間猶予してもらっているから、現金が在庫や売掛金に形を変えても資金繰りに支障はないということである。「他人のお金を使って商売(50p)」していることになる。

○第3章「大トロはなぜ儲からないか -キャッシュフロー経営とは何か-」・・大トロとコハダを比較した。利益が小さくても現金の回転が速い商品は儲かる。在庫を減らすことは「少ない資金量(現金)で商売すること(58p)」である。「ヒットさせたい気持ちが商品の種類を増やす..売れ残りの在庫は増え続ける」それは「顧客のニーズが絞り込めないから..ダメもとで品種を増や(63p)」すことは、もろ資金繰りに影響する。キャッシュフロー(CF)は、その名の通り現金を営業CF、投資CF、財務CFに分けてその流れを監視する。

○第4章「テストの見直しをしない子は成績が悪い -経営計画と月次決算のPDCAサイクル-」・・PDCAとはPlan(予算)、Do(業務活動)、Check(月次決算)、Ation(是正処置)である。そのためには経営ビジョンを立て、中期経営計画(3年間)、単年度事業計画、月次計画、日程計画そして行動がある。

○第5章「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? -利益構造と損益分岐点分析-」・・限界利益とは売り上げ金額から変動費を引いた金額である。限界利益率とは限界利益÷売り上げ金額である。これが高いといわゆる「利益率」が高い商品となる。限界利益率と固定費の大小によって利益構造が異なることとなる。連取問題に「宿泊のみのホテル」「縫製会社」」「製鉄会社」「ベトナムの工場」でBreak Even Pointのグラフを推定させられる。

○第6章「シャネルはなぜ高い? -見えない現金製造機とコーポレーションブランド経営-」・・「顧客のニーズを絞り込めないのは..自信がないからだ。自信がないから製品の種類を増やし、ブランドを増やす..品種を絞り込み、その上でブランド価値を高める。(118~119p)」確かに品種を増やすことが目標ではない。品種を増やすことが価値あるブランドを増やすわけでもない。「目には見えないブランド価値であっても..力があれば..B/Sに資産として計上する。(120p)」ノンブランドとの差額がブランド価値となる。しかし、一年後のブランド価値はリスクを割り引く。プリンタメーカーのインクで儲けるビジネスモデルも同様である。

○第7章「整形美人にご用心 -粉飾決算の見破り方-」・・最も興味があった。在庫を使った粉飾の手口は「数量と単価の水増し(134p)」である。架空の売掛金を増やすには「架空の取引」と「子会社に無理に売りつけ..元の価格で買い戻し..また売った(135p)」りする。商品は倉庫で動かない。これを見抜くにはB/Sの科目を3期分横に並べ..金額が突然大きく増えたり、減ったりした科目(137p)」を調べる。「在庫、売掛金、仮払金、繰延資産」は要注意の勘定科目であり、馴染みのない事業再生費用引当損や~引当金戻入益は特に・・。しかし、在庫を使った粉飾は「今期の費用(売上原価)を資産(製品)として翌期に先送りする(140p)」ため、翌期は在庫操作がエスカレートしやすい。

○第8章「殺風景な工場ほど儲かっている -原価管理と活動基準原価計算-」・・「ブランド力をつけるには時間がかかるが、製品原価の削減には即効性がある。(144p)生産原価を下げるには工場の維持費、材料費そして製造スピードがポイントとなる。工場で従業員が手空きになる時間はむだ、不良品の手直し、たまにしか稼動しない機械・・人も設備も止まっていれば、動いていても稼ぎに繋がらなければ、その時間はむだである。むだを可視化するため色分けする。不良品を減らせばむだな材料を購入しなくなる。そして製造リードタイムを減らす。「雨に濡れたくないのなら走るのが一番..工場の中には維持費という雨が降っている。(157p)」

○第9章「決断 進むか、退くか -機会損失意思決定会計-」・・外注には改善の余地が小さい。埋没原価も忘れがちである。製造スピードの改善は原価を確実に圧縮する。

○第10章「シャーロックホームズの目と行動力を持て! -異常点に着目し、原因を究明する-」・・「返品は経営にとって最悪な現象..製品が、再び会社に戻って廃棄..配送料はすべて会社持ち(187p)」である。その原因を会計数値だけで判断できない。

○第11章「会計のトリックに騙されるな! -逆粉飾を見破る-」・・「逆粉飾」という言葉を初めて聞いた。その存在する意味も分からなかった。事例としてあの日産自動車のV字回復が揚げられていた。1999年度は徹底した損失の洗い出しと、逆粉飾ともいえる費用の前倒しよって史上最低の決算(207p)」を仕組んで翌年には粉飾ぎりぎりの決算を組んでいた。「マスコミは..ころりと騙され(207p)」た。

○第12章「エピローグ」・・バランス・スコアカードBSCは、1992年に発表された財務(株主)の視点、顧客の視点、業務(内部プロセス)の視点、学習と成長の視点の4つから成り立つ管理会計の手法である。

投稿: 末吉 | 2007年4月16日 (月) 21:25

読書から遠ざかっている。面白そうと買ったものを積読(「つんどく」:朗読、黙読、速読に次ぐ読書法。なんのことは無いほこりを被っているだけ)している。

投稿: ひで丸 | 2007年4月16日 (月) 22:09

買わなきゃ、読まないもんね。自分だって、最近だよ。専門書以外を読むようになったのは・・でもこの本は半分、専門書の入門書みたいなもんだね。
今、給料前で、買うのを我慢してます。給料日には書店に行こう..と言っても新書しか読んでない。
誰でも知ってるけど読んだことない本って自分にはいっぱいある。夏目漱石、国木田独歩、樋口一葉、森鴎外、芥川龍之介..あとよく分かりません。全く読んだことないだよね。小説って全く未知の世界なんだよ..本屋で村上春樹の本を「初めて立ち読み」したけど、悲しいことに全く面白さが分からない。感性が衰えたか..
週末には給料日になるので土日には書店に行ってみます。

投稿: 末吉 | 2007年4月16日 (月) 23:09

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