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2007年3月23日 (金)

「美しい国へ」 -安倍晋三-

美しい国へ Book 美しい国へ

著者:安倍 晋三
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○第1章「私の原点」・・「歴史を単純に善悪の二元論でかたづけることができるのか(25p)」と聞いて、養老孟司が著書「バカの壁」で原理主義を典型的な一元論として対比し「私の考えは簡単に言えば二元論に集約されます。」と喋っていたことを思い出した。意味は違うけれども・・。また、戦争に関しては「世論を利用した側面がなかったとはいえない。(26p)」では9.11テロを利用してイラク戦争に突き進んだ米国を思い出した。自民党の大合併の理由は経済力の回復と国の骨格である憲法を「日本国民自らの手で白紙から(29p)」作ることとしている。確かに今も発言の端々で触れている。余談だが父、晋太郎は1990年にゴルバチョフ書記長と領土問題で会談しようと画策したとき膵臓がんに侵されていたとは知らなかったが、晋太郎自身にも内緒だった。

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○第2章「自立する国家」・・日朝首脳会談後の2002年10月の拉致被害者帰国から北朝鮮に戻さないことを決定するまでの経過がある。「かれら(被害者)の意思を出すべきでない。国家の意思として五人は戻さないと表明すべき(47p)」との決断への経緯である。その一方でマスコミを批判している。確かにいい加減ではある。靖国神社問題ではA級戦犯という言い方を批判している。確かに「A項目戦犯」の方がいいだろう。誰だってB級よりA級の方がランクが高いと思うだろう。
○第3章「ナショナリズムとはなにか」・・さすがに海外での経験は豊富である。外国で「コミュニケーションをとろうと思ったらアイデンティティをまず確認..かれらは..歴史と伝統と文化について尋ねている。(92p)」としている。これは藤原正彦が著書「国家の品格」でケンブリッジ大学の教授から「夏目漱石の『こころ』の中の先生の自殺と三島由紀夫の自殺」の関係について聞かれた話と符合する。ちなみに藤原氏も件の教授も数学者であり、文学者ではない。その後、「土地への帰属」について論じているが、確かに新興住宅地に住む私には深刻な問題ではある。死ぬことを宿命付けられた特攻隊の感情にも触れている。概ね肯定できるが一致はしなかった。前出の養老孟司はアウシュビッツを経験したV・E・フランクルの言葉から「人生の意味は外部にある。」という言葉を紹介している。私もそう思うようになってきた。
○第4章「日米同盟の構図」・・ここでも「国家の品格」で引用されたトマス・ホッブズの自然観が登場する。米国を象徴するキーワードの様である。良いか悪いかは別にして日本と同じ敗戦国であるドイツが東西統一まで36回も憲法といえるドイツ基本法が改正されていたとは少々驚いた。日本は島国という安全な環境が良くも悪しくも憲法改正論議に影響して(ボケて?)いる。そういえばTVで集団的自衛権は行使できない権利だとの意見を喋っていた。この後、憲法の矛盾点を挙げていく。
○第5章「日本とアジアと中国」・・2004年のサッカーアジアカップでの中国の程度を超えたブーイングや翌年の反日デモがあっても「多くの国民が不快感を示していたにもかかわらす、中国国旗に火を放つような若者はいなかった。」と言い切っているが、日本人は行儀が良すぎるのかも知れない。
○第6章「少子国家の未来」・・年金の概略は掴める。勉強にはなるが、弁解もある。
○第7章「教育の再生」・・格差社会対策そして得意の再チャレンジ可能な社会へと通じる。これも余談だか、父の晋太郎は政治家の多い環境に生まれたが、両親の離婚は知らされず、会うことも出来ないまま実の母はなくなり、政治家だった晋太郎の父も大学生の頃、急死し天涯孤独だった。さらに晋三も教育改革を訴えているが、子供がいない。少し意外である。

投稿: すえよし | 2007年3月25日 (日) 00:52

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