金木犀の香り
金木犀の香りは大学を思い起こさせる。男だらけの農学部は春の学園祭には見向きもしない。しかし、秋になり学科対抗の体育祭が近づくと一ヶ月以上前から授業後に学内に植えられた金木犀のそばで練習して備えた。応援、演技そして競技の練習までしていた。三年生は部門別の団長と総団長を務めなければならない。自分は応援団長だった。
終了後の夜は学科前の庭に新聞紙を敷き、ビールと芋焼酎と袋菓子だけの打ち上げが始まる。一方、団長達は他学科にあいさつにも廻る。優勝カップは部門ごとにあり、優勝した学科にはカップが飾られた。あいさつのエール交換が終わるとカップに芋焼酎を注がれ、団長はそれをすべて飲んだ。あいさつが終わっては指を喉に突っ込んで吐いた。そして、また次の学科に向かった。
金木犀の香りは、私に夜の少し湿った空気の冷えた感覚と芋焼酎の匂いを思い出させる。(中判田)
Panasonic DMC-FZ10 ISO50 1/500sec F4.0 -0.3EV 80mm AF
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